地域と繋がる「きのかわ支援学校」の取り組みに感銘
こんにちは。
梅雨が明けて本格的に暑い夏がやってきましたね。
和歌山では人気の観光スポットで世界遺産の高野山やパンダが有名な白浜に沢山の方が旅行に訪れ賑わっているようです。
皆様も熱中症対策をして、今だけの「夏」を楽しんでくださいね。
今回のトピックスは、和歌山県橋本市高野口町の「和歌山県立きのかわ支援学校」の素晴らしい取り組みのお話です。
和歌山県立きのかわ支援学校 〜一人ひとりが主人公になるため〜
和歌山県立きのかわ支援学校は橋本市高野口町向島にあります。昭和61年に開校し「すべては子どもたちのために」という想いと、一人ひとりの自立と社会参加を目指して主体的に生きる力の育成をはかることを教育目標として掲げ、地域貢献にも積極的に参加している学校です。
特に地元との繋がりを大切に、地域と共にある学校の実現に向けて令和3年度より「高野口マルシェ」という取り組みをされています。
その取り組みの一環で、高野口の地場産業であるパイル織物の企業として中野メリヤスともコラボしていただいております。
そもそもの出会いとなったのは、今回インタビューに協力していただいた高等部の主事を務める「岡田 美和先生」(以下、岡田先生)岡田先生は色々なイベントを視察や参加している際にきのかわ支援学校のオリジナル商品が無い事に気づき、何か地元の企業とコラボして商品化できないかと考え探していました。
そんな時に地場産業である高野口パイルについて興味を持っていただき、中野メリヤスのHPを見た際に弊社の「想い」の部分に大変共感してもらったのが始まりです。
取り組みについてお話をお伺いし、是非協力させていただきたいと二つ返事でプロジェクトはスタートしました。
ファー生地を細断する際にどうしても出てしまう「ハギレ」を活用しSDGsを意識した商品作りを目指すこととなりましたが、すぐには形にはならず魅力的な商品化の為にはどうすればいいか?と先生方はとても悩まれました。
岡田先生自身もクラフトファー(フェイクファー、エコファー)のハギレを活用しクッションを作ってみたりと試行錯誤を繰り返しながらアイデアを探してそうです。
製品化への道のりと「こだわり」
ただ作って売るだけ。なら簡単にできますが、それが本当に子供達や地域、社会の為になるのか?
多分、それだと自己満足で終わってしまう。
ちゃんと製品として認めてもらい、いろんな人の意見を聞きつつ背伸びせずに子供達の自由な発想を活かせる「モノ作り」で
フラットな状態で評価をしてもらいたい。
買ってくださる方が心から欲しいと思って手に取って買って大切にしてもらえる製品でないと意味がないのです。
・・・そして
地域と学校を繋げたいという熱い想いを持った岡田先生と共育コーディネーターとの出会いにより、コラボレーターズチームが結成されたことにより急激にプロジェクトが動き出しました。
(高野口パイルとのコラボ以外にも地域の学校や農家、企業とも数々の魅力ある製品開発がされていますので
後ほど紹介させていただきますね!)
想いがカタチになりはじめる
さまざま苦難と葛藤、試行錯誤の末、クラフトファー(フェイクファー、エコファー)はついに製品化される事となりました。作ってくれているのは、高等部の家庭班の子ども達です。
高等部では社会への出発・準備期間として学力だけでなく、子供達の未来での生活に生かす力を豊かに育て、社会に出て就職するまでの勉強も行われています。
6つの班から自分で何を作りたいかにより班を選択し、毎週木曜日に1日かけての製品作りをしています。
1日かけて同じ作業をするのは大変なのでは?と思いましたが、そうする事により学校を出て社会で働く際にも自分の限界やペース配分を知ることができるという意味があると教えてくださいました。
ちなみに作った製品は公開で販売しロハスや文化祭にも出展しているそうですよ!
今年度の家庭班の人数は8名で、主に3つの製品作りに励んでいました。
「クラフトファー(フェイクファー、エコファー)を使った製品」「マクラメ」「リボンレイ」から今日は何を作るか?を
子供達自身が選ぶそうです。
クラフトファー(フェイクファー、エコファー)のハギレを活用した製品は基本的にはファーポンポンとぬいぐるみと大まかな品目は決まっていますが、それ以外は自由な発想で真剣に、時に笑い合いながら楽しそうに作業を進めていました。
しかも、ただ作るだけではなく値段を決めるのも子供達。みんなで話し合って材料費やお客様の立場で考えて決めているそうです。
さらには育友会や地域の商工会、企業の前でのプロジェクト会議でプレゼンまで行っているというので驚きでした!
大人でもプレゼンは緊張しますからね。本当にすごいです。
楽しそうな授業の風景
この可愛いキャラクターは、きのかわ支援学校のイメージキャラクターの「きのマン」です。
優しそうに微笑んでいて見ているだけでほっこり、癒されますね。
なんと「きのマン」を生み出した男の子は家庭班です。この日はファーポンポンを作っていましたよー。
この可愛いきのマンを作ってくれている女の子はとてもすごくて、器用なだけじゃないスーパーガールでした。
きのマンを制作するにあたり、キチンと型紙を作ることで他の人でも作れるようにと自分の効率だけじゃなく視野を広く持っていたのです。
オリジナリティ溢れるカメのチャームもクラフトファー(フェイクファー、エコファー)のハギレから。
ヘアゴムに生まれ変わったファーポンポン。
写真撮影では子供達が撮りやすいように手に乗せて見せてくれたり、いろんなお話をしてくれました。
「製品作りはなんでも楽しい!」「お洒落が好きだからカラフルなハギレから色を選ぶ時間が好き」「ファー生地は毛足が長い生地だと少しむずかしいけど、慣れてくると簡単に思う」「ふわふわした触り心地がお気に入り」だったり「どこから来たの?」とお喋りを沢山しました。
それにしても、新しいものを生み出す子供達の創造力には脱帽です。
器用に布を細断し、手際よく縫製、そして完成。どんどんイメージが湧いてくるのが手が止まることはほぼありません。
集中力もすごいんですよね。
世界に一つだけの一点ものが沢山完成!
地域連携で広がる活動と輪
1.地域農家とのつながり
農家の方に提供いただいた新鮮野菜の梱包や販売。
2.地域の高校とのつながり
伊都中央高校とのコラボカフェ。
3.地域企業とのつながり
地産地消の原材料での製品「ドレッシング」と「ピクルス」開発。他にもあんぽ柿や焼き菓子、駄菓子等
4.地域の人とのつながり
橋本市出身のシェフに食品アドバイザーとして来校していただき様々なアイデアをもらったり、地元名産の果物である柿、イチジク、栗のパウンドケーキを伝授していただいたそうです。
他にもマナー講習会講師の方をお招きしたりと沢山の取り組みをさせれています。
5.地場産業とのつながり
中野メリヤスの高野口パイル(クラフトファー)の廃棄生地(ハギレ)を再利用したオリジナル商品の開発。製品はドレッシングとピクルス。
農家さんからもらった規格外の野菜や果物を使った加工品には、地元企業が4社が関わり協力しています。
駆け足でざっとご紹介してしまったのですが、どれも魅力的で地域に密着した取り組みばかりです。
子供達と学校、地元の人々が協力し創り上げた製品はかけがえのない「唯一無二の価値」を感じますね。
そして、令和3年にはコロナ禍のなか「高野口マルシェ」をきのかわ支援学校で開催!
地元の方々に知ってもらうだけでなく、卒業生も気軽に寄れて、小学部や中学部の生徒にも楽しんでもらえるイベントは盛り上がったそうです。高等部の生徒達も高野口マルシェを通して学んできたことを活かして子供達は更にレベルアップしたのだろうなと思います。
きのかわ支援学校のオリジナリティには欠かせない「地場産業で地元である高野口をアピールし製品を販売」を実践する
ことで「学校」と「地場産業(企業)」どちらについても知ってもらえる「きっかけ」になるという相乗効果を生み出している事は、本当に素晴らしいです。
2023年、今年も11月23日(木 勤労感謝の日)に第5回高野口マルシェがきのかわ支援学校の敷地内で開催されるそうです。
クラフトファー(フェイクファー、エコファー)を使い子供たちが制作した素敵で可愛い製品も出品予定ですので、是非お誘い合わせのうえ足を運んでみてくださいね!
家庭班以外にも少しだけお時間があったので見せていただきました。
色とりどりのお皿や陶器から、木材をを使った可愛いクリップスタンドやマグネットと十人十色で様々な製品が所狭しと並んでいる教室は見ているだけでも楽しくなりました。
最後に。
子供達がクラフトファー(フェイクファー、エコファー)に魔法をかけて素敵な製品にしてくれている様子を間近でみて、お話をさせていただいた事、岡田先生、他の先生方、きのかわ支援学校に感謝です。
これからも地域や企業をどんどん巻き込んでいってもらいたいですし、活動を応援しております。
私たち企業側も子供達が未来へと羽ばたける場所作りに力を注ぎ、地域の活性化に努めていこうと再認識いたしました。